今回は、WEB予約システムについての話です。
一人で経営する整体院・治療院にWEB予約システムは最適、に見えるが……
一人で整体院や治療院では、当たり前ですが受付がいません。
受付がいないということは、予約の電話が鳴るたびに施術を中止しなければなりません。
当然それはありがたいことではないため、開業時に
「WEB予約システムを導入してインターネット上で予約できるようにしておいたほうが良いのだろうか?」
と考え出す人もいます。
実際、営業電話で業者が勧めてくることはあると思います。
「WEBでお客さんが予約スケジュールを見て、空いているところにワンクリックで予約を入れられる。施術者は施術に専念でき、お客さんも施術の中断が無いので良いことづくめ!」
と言われるわけです。
確かにそれらのメリットは事実です。
しかし、メリットがあるからといって安易に契約をするのは考え物です。
整体院や治療院を一人で小さく開業する場合、最初からコンスタントに予約が入らないことが多い
どんな問題があるのか。
それはまず、ガラガラの予約スケジュールが公開されてしまうリスクです。
新規開業の場合、開業当初からお客さんから予約がポンポンと入り、一か月くらい先まではある程度埋まっている状態に……というようなことはなかなか考えにくいです。
開業当初は仮に腕が良かろうとも名声がありませんし、ブランディングも出来ていない状態だからです。
一人整体院や一人治療院ならなおさらです。ビルの一階で開業というわけにはいきませんので目立ちにくいですし、莫大な宣伝コストをかけて広告を打って予約を集めるということも難しいです。
そんな中でネットの予約システムを導入してしまうと、見事に空白だらけの予約カレンダーがネットに公開されてしまうことになります。
つまり、お客さんから
「なんだこの店は。予約がガラガラじゃないか」
と思われてしまうのです。
こうなりますと悪循環で、予約ガラガラの店なんて怖くて誰も行きたくありませんから、ますます予約は来なくなります。
WEB予約システムは月額利用料金を店から取るものが多いので、店としては利用料のみ徴収され続けるということになります。
「予約が全然入っていなくても自分で入れてカモフラージュしましょう」?
そして、
「導入したけどそもそも予約が入らないので……」
と店側がWEB予約システム解約しようとすると、コンサルタントなどの業者はこう薦めてきます。
「予約が入っていなくても、自分でダミー予約を入れてしまいましょう」
自作自演して賑わっているように見せましょう、ということで、一か月くらい先までは適当に予約を入れるように言われるわけです。
もちろん完全には埋めずに、本当の予約が入れられる程度の余地を残します。
そうすれば、見ている側は「ここは予約がたくさん入っているから安心だ」「早く予約しないと全部埋まってしまいそう」となり、うまく回り出すというという理屈ですね。
これ、商売としてはおそらく正しいです。
消費者心理というものがありますので、やはり賑わってそうなところに人は集まっていきます。
言われたとおりにダミー予約を入れておけば、ガラガラの状態よりは予約が入りやすくなるでしょう。
嘘をつく施術者を目指したいですか?
ではダミー予約で万事解決か?
いや、そうではないと思います。
それ、患者さんやお客さんに嘘をついていますよね?
いかに商売として正しいからといって、患者さんやお客さんに嘘をつく行為はどうなのでしょうか。
治療家、施術師として平気ですか?
平気ならば、そうすればよろしいでしょう。
ですが平気ではないのであれば、そもそも開業当初からWEB予約システムを入れるべきではないと思います。
店が軌道に乗って忙しすぎて電話対応が難しくなったら、そのときに検討をすれば良いのではないでしょうか。