今回は『足つぼマッサージ』(リフレクソロジー)についてのお話です。
足ツボでなんでも治るという幻想
足ツボの『ここ(足裏の部分)を押すとここ(臓器)に効く』というものをまとめた図、見たことがある人は多いと思います。
見事に全身をカバーしております。
これを見ますと、足裏を押せば何でも良くなると勘違いしてもおかしくありません。
実際、足ツボのお店も治療効果を期待させるようなアピールの仕方をしています。
(うまく医師法等には引っかからないようにはしてらっしゃるかとは思いますが)
それを信じてしまい、病気や体の不調が良くなることを期待して足ツボのサロンに通い続けているかたもいらっしゃるようです。
一方で、あんなものはインチキだ、詐欺だ、という声があるのも事実です。
結局どうなの? と思っているかたも多いのではないでしょうか。
『足ツボマッサージ』に、言われているような治療効果は無い
残念ながら、結論から申しますと、
いわゆる『足ツボマッサージ』には、主張されているような治療効果はありません。
いや、もう少し正確に申しますと、
令和現在で治療効果があるというエビデンス(科学的根拠)はありません、
となります。
これはどういうことでしょうか。
足ツボはツボにあらず
実は、世間で足ツボと言われているものは、東洋医学のツボ(経穴)では無いのです。
東洋医学のツボ(経穴)であれば2000年以上の歴史がありますし、2006年にがWHOが全身361カ所の経穴を世界標準として定めており、経験医学として効果が世界的に認められています。
ですが、世間で言われている『足ツボマッサージ』の足ツボとは、東洋医学の経穴とは関係ありません。
西洋発祥の『リフレクソロジー』という療法の、『反射区』と呼ばれるものです。
リフレクソロジーは、1917年にアメリカ人医師 ウィリアム・フィッツジェラルド博士がその理論を発表したことが発祥とされています。
まだ歴史が100年程度しか無いのです。
これでは経験医学としても少々弱いと指摘されるのは仕方がありませんね。
ただしインチキや詐欺と断ずるのは不適切
では、リフレクソロジーとは本当にインチキ療法なのか? 詐欺療法なのか?
上記の事実を知ると、そう思ってしまう人もいると思います。
そして、SNSなどでは「ああいうのはインチキです」と断言している人も見かけます。
本当にそう片づけてしまって良いのでしょうか?
いえ、それも不適切です。
今ある事実は、現時点でエビデンスが無いということだけです。
この先、未来永劫エビデンスが無いままということが確定したわけではありません。
その時代で医学的に常識だと言われ、医療関係者もそう思い込んでいたことが、後の世でひっくり返ったことは数多くあります。
リフレクソロジーについても、何らかの効果が証明される時代が来る可能性がゼロでは無いはずです。
「でも今は医学・科学が進歩してますし……」
と思われるかたもいらっしゃると思いますが、今が医学の進歩の果てではありません。
今も医学は日進月歩であるうえ、人体は小宇宙。まだまだ科学で解明しきれていない部分が残されています。
現時点でエビデンスが無いことを理由にインチキと断定するのは、現代人の驕りと言われてもおかしくないでしょう。