今回は巷にあふれている2,980円の格安マッサージ店についての雑記です。
なぜ『2,980円のリラクゼーション店=ブラック』のイメージが?
まず、なぜニイキュッパの格安マッサージ(※)店がブラックというイメージを持たれているのか? という話になりますが、それはやはり安いからだと思います。
かつてマッサージというものは10分1,000円というのが相場でした。
60分で全身受ければ6,000円、基本的には1人の人間がお客さんに付きっきりで施術しますので、安くできないはずのサービスだったのです。
ところが、2000年代になってからその相場を崩す店が現れるようになります。
既存の業者が徐々に値下げしていったわけではありません。新しい業者がいきなり相場の半額である60分2,980円のマッサージを引っ提げて参入してきたのです。
これは業界にとって大変な衝撃でした。既存業者にとってみれば黒船が来襲するようなものだったと思います。
しかし同時に「従業員にしわ寄せが行っているのではないか」という声も出てくるようになりました。
安くできないはずのサービスが安いわけですから、当然の流れなのかもしれません。
その流れで、今でも何となく2,980円のマッサージ店はブラックなイメージを持つ人が多いのです。
(※注 国家資格を持たないスタッフがほとんどだと思いますので、本当は『マッサージ』ではありません。マッサージには『あん摩マッサージ指圧師』もしくは『医師』の国家資格が必要です)
マンツーマンのサービスが2,980円で提供できる理由
安くできないはずの施術料金がなぜ安くできる?
その理由は知っている人も多いと思いますが、スタッフが直接雇用でなく『業務委託契約』だからです。
つまりスタッフさんは社員でもアルバイトでもなく『個人事業主』なのです。店から見れば外部のフリーランスに場所を提供して施術してもらい、その施術に応じて報酬を払うというイメージです。
それで何がコストカットできるのかと言いますと、法定福利費です。
直接雇用だと必要な『健康保険料』『介護保険料』『厚生年金保険料』『雇用保険料』『労災保険料』などの会社負担分が一切無くなります。これは相当大きいです。
これはつまり普通の職場のような福利厚生が無い(健康保険は個人での国保加入、厚生年金にも入れない、雇用保険の対象にもならない……等)ということを意味します。
「従業員にしわ寄せが行っているのではないか」というのは当たっているとも言えるわけですが、それを前提にスタッフを集めていますので、そこで不満が出ることも少ないようです。
2,980円の施術料金設定をするのが新規の業者ばかりだったのは、そういう事情があります。
60分6,000円でやっていた既存業者が2,980円まで値下げしようとすると、いったんスタッフを解雇して業務委託契約に切り替えないといけません。
直接雇用されていたスタッフが突然そんなことをされたら不満が出ますので、なかなかやりづらいのでしょう。
実際の働き心地は?
ではそんな格安店の働き心地はどうなのでしょうか?
私(管理人)が専門学校に通っていたときには、在校生に2,980円のリラクゼーション店で勤務している人が多数いました。もちろん全員にではありませんが、詳しい話も聞いたことがあります。
聞いた限りでは、ブラックだと答える人いませんでした。
たしかに研修の充実度や福利厚生については60分6,000円の店にはかなわないようですが、そういう店を「一生の職場」と位置付けている人が少ないせいか、皆さん割り切ってやられているようでした。
収入面でも、2,980円のうち約2,000円がスタッフの取り分(当時の話です。このご時世ですので今はもっと安い店が多いと思います)であり、客の入り次第ではそこそこ満足という人が多かったです。
職場の雰囲気も悪いと言っていた人はいなかったと思います。
少なくとも労働条件が悪すぎて離脱者続出という世界ではないようですね。
仮にブラックな2,980円の店があるのであれば、それは2,980円の店のシステムから起因するものではなく、単に店長や他のスタッフの性質によるものなのではないでしょうか。